産業廃棄物収集運搬業許可の取り方|要件・費用・期間

コンテナを積載した産業廃棄物収集運搬車両
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産業廃棄物収集運搬業許可の取り方|要件・費用・期間

「取引先の廃棄物も一緒に運んでほしいと頼まれた」「自社便の空きを使って運搬を請け負いたい」——そんなときに必要になるのが産業廃棄物収集運搬業の許可です。他人の産業廃棄物を運ぶには、例外なく許可が要ります。この記事では、許可が必要になる場面、取得の要件と流れ、そして排出事業者側から見た「許可証の読み方」までを整理します。

  • 他人の産業廃棄物を運ぶなら許可が必要。自社の廃棄物を自ら運ぶだけなら不要
  • 申請先は積込地と荷卸地の両方の都道府県・政令市
  • 講習会の修了、車両、経理的基礎、欠格要件の4点が要件の柱
  • 申請から許可までおおむね2〜3か月かかる
  • 有効期間は5年。更新には更新用の講習が必要

そもそも許可が必要なのはどんなときか

判断の基準は「誰の廃棄物を運ぶか」です。

許可の要否

他人(取引先・元請・顧客)の産業廃棄物を運ぶ → 許可が必要

自社の事業活動で出た産業廃棄物を自社で運ぶ(自己運搬) → 許可は不要

自己運搬の場合でも、運搬車への表示、書類の備え付け、飛散・流出の防止といった基準は守る必要があります。「無許可でいい」ではなく「許可は不要だが基準はある」という理解が正しい形です。

なお、建設工事では原則として元請業者が排出事業者になるため、下請が廃棄物を運ぶ場合は他人の廃棄物を運ぶことになり、許可が必要になるのが基本です(解体工事の廃棄物は誰が出したことになるのか)。

許可の種類

積替保管の有無

  • 積替保管を含まない許可: 排出事業場から処分先へ直行で運ぶ。取得のハードルは比較的低い
  • 積替保管を含む許可: 途中の保管施設で積み替えたり、一時保管したりする。施設要件が加わり、難易度が上がる

まず取得するのは積替保管なしの許可が一般的です。

普通産廃と特別管理産廃

特別管理産業廃棄物を運ぶ場合は、別途特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。講習会も別区分になります(特別管理産業廃棄物とは)。

申請先はどこか

ここを間違えると計画が狂います。許可は都道府県・政令市ごとに必要で、積込地(廃棄物を積む場所)と荷卸地(降ろす場所)の両方の自治体の許可が要ります。

たとえば愛知県内で積んで岐阜県の処分場へ運ぶなら、愛知県と岐阜県の両方の許可が必要です。通過するだけの県の許可は不要です。営業エリアを広げるほど、申請の数と費用が積み上がっていきます。

取得の4要件

1. 講習会の修了

日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する産業廃棄物収集運搬課程(新規)を修了する必要があります。法人であれば代表者または業務を行う役員、個人事業なら本人が受講します。

  • 受講申込は先着制で、時期によっては数か月先まで埋まっている
  • 修了試験に合格すると修了証が交付される
  • 修了証には有効期限がある(新規は5年、更新は2年が目安)

許可取得のスケジュールは、この講習の予約が取れるかどうかで決まります。まずここから動くのが鉄則です。

2. 運搬車両と容器

廃棄物が飛散・流出せず、悪臭が漏れない構造の車両・容器が必要です。ダンプ、平ボディ、バン、パッカー車など、取り扱う品目に合ったものを用意します。車検証の写しを添付するため、申請時点で使用権原があることが前提になります(リースも可)。

3. 経理的基礎(財産的要件)

事業を継続できる財務状況かどうかが審査されます。直近3期分の決算書、納税証明書などを提出します。債務超過や大幅な赤字がある場合は、改善計画書や中小企業診断士の診断書を求められることがあります。

4. 欠格要件に該当しないこと

役員等が一定の刑罰を受けている、暴力団関係者である、過去に許可を取り消されているなどに該当すると、許可は受けられません。役員全員分の登記されていないことの証明書、身分証明書などを揃えて確認されます。

申請の流れと期間

1. 講習会を受講する(1〜3か月)

申し込みから受講日まで待ち時間が発生します。修了証の到着まで含めて見込んでおきます。

2. 事業計画を固める(数日〜)

取り扱う品目、排出元と搬入先、想定する取扱量、使用する車両を決めます。搬入先(処分場)の受入承諾が必要になる自治体もあるため、事前に処分業者との話をつけておきます。

3. 必要書類を集める(2週間〜1か月)

  • 登記事項証明書、定款
  • 役員全員の住民票、登記されていないことの証明書、身分証明書
  • 直近3期分の決算書、納税証明書
  • 車検証の写し、車両・容器の写真
  • 講習会修了証の写し
  • 事業計画書、施設の概要

役所から取り寄せる書類が多く、ここが実務上いちばん時間を食う工程です。有効期限(3か月以内など)がある書類もあるため、取得の順番にも注意が必要です。

4. 申請(予約制の自治体が多い)

窓口が予約制の場合、予約が取れるまでさらに待つことがあります。手数料は新規申請で81,000円が標準です(自治体により異なる場合があります)。

5. 審査・許可(1〜2か月)

標準処理期間は自治体によって異なりますが、申請から許可証の交付まで2〜3か月程度を見込むのが現実的です。急な受注に間に合わせようとしても、まず間に合いません。

ここは要チェック

許可の有効期間は5年です。更新申請は期限前に行う必要があり、更新用の講習会も別途あります。期限が切れると無許可営業になるため、更新時期は必ず社内のカレンダーに入れてください(廃棄物管理の年間スケジュール)。

費用の目安

  • 講習会受講料: 数万円程度(新規・更新で異なる)
  • 申請手数料: 新規81,000円、更新73,000円が標準(自治体・許可区分により異なる)
  • 証明書類の取得費: 数千円〜1万円程度
  • 行政書士に依頼する場合: 10万円〜20万円程度が相場

複数の自治体に申請する場合、手数料は自治体ごとに発生します。営業エリアの設計は、コストと直結する判断です。

排出事業者側から見た「許可証の読み方」

ここまでの内容は、委託する側にとっても役に立ちます。業者の許可証を見るとき、確認すべきは次の4点です。

  • 事業の範囲(取扱品目): 自社が出す種類が含まれているか。「がれき類」しかない業者に廃プラは委託できません
  • 許可の有効期限: 期限切れの業者に委託すると、委託した側も委託基準違反に問われます
  • 積替保管の有無: 直行運搬か、途中で保管するのか
  • 自治体: 積込地と荷卸地の両方の許可があるか

これらの確認手順は愛知県で産業廃棄物処理業者を選ぶ手順で詳しく解説しています。許可情報は環境省の処理業者情報検索システムでも確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 自社の廃棄物だけを運ぶなら本当に許可は不要ですか?

A. 不要です。ただし運搬車への表示と書類の携行が必要で、産業廃棄物を飛散・流出させないことも求められます。グループ会社の廃棄物は「他人のもの」になる点にも注意してください。

Q. 講習を受けるのは誰でもいいですか?

A. 法人の場合は代表者または業務を執行する役員、個人事業主は本人が対象です。従業員が受講しても要件を満たしません。

Q. トラックを持っていなくても申請できますか?

A. 使用権原のある車両が必要です。リース契約や賃貸借契約でも構いませんが、申請時点で契約が成立している必要があります。

Q. 一般廃棄物も運べるようになりますか?

A. なりません。一般廃棄物の収集運搬には市町村長の許可が別途必要です(産業廃棄物と一般廃棄物の違い)。

Q. 許可を取れば処分もできますか?

A. できません。処分するには産業廃棄物処分業の許可が別に必要で、施設の設置許可も絡みます。

Q. 更新を忘れて期限が切れました。

A. 新規申請からやり直しになります。営業が止まるため、期限管理は最優先事項です。

まとめ: 講習の予約から逆算する

産業廃棄物収集運搬業の許可は、要件そのものより段取りの読みが難しい手続きです。講習会の予約待ち、書類の収集、窓口の予約、審査期間——これらを足すと、動き出してから許可証が手元に届くまで半年近くかかることもあります。

委託する側としては、取引先の許可証で「品目・期限・積替保管・自治体」の4点を確認する習慣をつけておけば、委託基準違反のリスクはほぼ避けられます。


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