多量排出事業者とは|処理計画の提出が必要になる事業者と準備の進め方
事業が拡大して排出量が増えてくると、それまでなかった手続きが必要になることがあります。そのひとつが、多量排出事業者としての処理計画の作成・提出です。「うちは該当するのだろうか」「該当したら何をすればいいのか」——この記事では、制度の位置づけと、該当しそうな場合の備え方を整理します。
- 前年度の排出量が一定以上になると、計画の作成・提出が求められる
- 産業廃棄物と特別管理産業廃棄物で、それぞれ基準が定められている
- 該当するかどうかは、自社の排出量を把握していないと判断できない
- 提出した計画と実績は、公表される仕組みがある
制度の位置づけ
多量に廃棄物を排出する事業者には、減量やその他の適正な処理について自ら計画を立て、行政に提出することが求められています。単なる報告書ではなく、「どう減らしていくか」を自社で考えて示すところに主眼があります。
対象になる排出量の基準は法令で定められており、産業廃棄物と特別管理産業廃棄物で別に設定されています。具体的な数量や提出期限は、事業場の所在地を所管する窓口でご確認ください。
ここは要チェック
判定は事業場ごとに行われるのが基本です。会社全体で合算するのか、工場単位で見るのかを取り違えると、該当・非該当の判断がずれます。自社の状況にあてはめた判断は、所管窓口に確認してください。
該当するかどうかを判断する前に
この制度で最初につまずくのが、そもそも自社の排出量を正確に言えない、という点です。請求書はあるが単位がばらばら、拠点ごとに管理がばらばら——という状態では、該当の判断もできません。
排出量の記録の始め方は廃棄物の排出量を把握する方法にまとめています。品目・数量・単位・日付・拠点の5列から始めれば十分です。
POINT
該当しそうかどうかは、マニフェストの交付枚数と数量を年単位で集計すれば概算が出ます。電子マニフェストを使っていれば、集計はさらに簡単です(電子マニフェストとは)。
計画に盛り込む内容の考え方
様式は所管する自治体の案内に従いますが、求められる中身はおおむね次のような構成です。
1. 現状の排出量
種類ごとの排出量と、その処理の内訳(再生利用・中間処理・最終処分)を示します。ここが埋まらない会社が多いので、日頃の記録が効いてきます。
2. 減量の目標
次年度以降にどこまで減らすかの目標を立てます。生産量あたりの原単位で置くと、事業規模が変動しても評価できる目標になります。
3. 具体的な取り組み
目標を達成するための施策です。発生そのものを減らす取り組み、再使用、再生利用の順に検討するのが基本の考え方になります(廃棄物の減量とリサイクル)。
4. 処理の委託先と方法
誰に、どういう方法で処理を委託しているかを整理します。契約とマニフェストの状態を見直すよい機会にもなります。
作成を進めるときの実務の流れ
- 担当と期限を決める:年度の切り替わりに作業が集中するため、他の年次業務と重ならないよう配置します
- データを先に固める:前年度の実績が確定していないと書けません
- 業者に相談する:処理方法の内訳やリサイクル率は、委託先の情報がないと埋まらないことがあります
- 前年の計画と見比べる:2年目以降は、前年の目標に対する結果も問われます
年間の作業の並べ方は廃棄物管理の年間スケジュールを参考にしてください。
公表されることを前提に書く
提出した計画や実施状況は、公表される仕組みがあります。取引先や地域の目に触れる可能性がある文書だ、という前提で作ってください。
過大な目標を掲げて未達を繰り返すより、根拠のある目標を置いて着実に進めるほうが、結果としてよい説明になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 該当する排出量の基準は何トンですか?
A. 産業廃棄物と特別管理産業廃棄物でそれぞれ定められていますが、本記事では具体的な数量は記載していません。判定の単位(事業場ごとか等)も含めて、所管の窓口にご確認ください。
Q. 該当しない場合、何もしなくていいですか?
A. 提出義務がなくても、排出量の記録と減量の取り組みは費用面で効いてきます(企業の廃棄物処理費を削減する方法)。
Q. 拠点が複数あります。どう数えますか?
A. 判定の単位は制度で定められています。複数拠点をまたぐ場合の扱いは所管窓口に確認してください。拠点をまたぐ管理の考え方は廃棄物一元管理とはでも触れています。
Q. 処理業者が計画を作ってくれますか?
A. 計画を作成し提出するのは排出事業者です。ただしデータの提供や、処理方法の内訳についての情報提供で協力してもらえることがあります。
Q. 提出しなかった場合はどうなりますか?
A. 制度上の義務であるため、未提出は指導等の対象になりえます。期限と様式は所管窓口の案内に従ってください。
まとめ: 記録がある会社は、慌てなくていい
多量排出事業者の処理計画は、書類の作成そのものが大変というより、その材料になるデータが揃っているかどうかで難易度が決まります。
排出量が増えてきた実感があるなら、該当するかどうかの前に、まず記録を整えてください。該当しなかったとしても、そのデータは契約の見直しにも減量にもそのまま使えます。
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