アスベスト(石綿)廃棄物の処理方法|レベル別の扱いと委託先の選び方

養生された隔離スペースで二重梱包されパレットに積まれた廃石綿等
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アスベスト(石綿)廃棄物の処理方法|レベル別の扱いと委託先の選び方

解体や改修でアスベストが見つかると、途端に段取りが変わります。アスベストを含む廃棄物は、通常の産業廃棄物とは処理ルートも書類も別建てだからです。しかも「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」で扱いが分かれるため、どちらに当たるかを最初に見極める必要があります。この記事では、区分ごとの処理方法と委託先の選び方を整理します。

  • アスベスト廃棄物は「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」の2区分
  • 廃石綿等は特別管理産業廃棄物。二重梱包・表示・専用の許可が必要
  • 石綿含有産業廃棄物は通常の産廃だが、破砕は原則禁止
  • 最終処分は埋立(または溶融等による無害化処理)
  • 委託先は「許可品目にアスベストの記載があるか」で選ぶ

まず区分を確認する

アスベストを含む廃棄物は、飛散のしやすさで2つに分かれます。

2つの区分

廃石綿等: 吹付け石綿、石綿含有保温材など飛散性の高いもの、除去作業で使った養生シート・防護服等。特別管理産業廃棄物にあたる

石綿含有産業廃棄物: 石綿を0.1%を超えて含む成形板等(スレート、Pタイル等)。通常の産業廃棄物だが処理基準が上乗せされる

この区分は、現場での作業レベル(レベル1〜3)とおおむね対応しています。レベル1・2の除去で出るものが廃石綿等、レベル3の建材が石綿含有産業廃棄物、というのが実務上の目安です(アスベストの種類と見分け方)。

廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の処理

1. 保管

飛散させないことが最優先です。

  • 湿潤化したうえで、耐水性の材料で二重に梱包する(または固形化する)
  • 他の廃棄物と混合しないよう仕切って保管する
  • 保管場所に特別管理産業廃棄物である旨と取扱い上の注意事項を表示する
  • 関係者以外が立ち入れないようにする

保管基準の全体像は産業廃棄物の保管基準もあわせてご確認ください。

2. 収集運搬

特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託します。通常の産廃許可では運べません。梱包を破らないよう積載し、飛散防止の措置を取ります。

3. 中間処理

溶融処理などの無害化処理を行う施設に搬入されることがあります。高温で溶かして石綿繊維の構造を壊し、無害化する方法です。処理費は高額になります。

4. 最終処分

無害化しない場合は、管理型最終処分場での埋立処分となり、飛散しないよう覆土などの措置が取られます。

5. 管理責任者の設置

廃石綿等が生じる事業場では、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が義務です(特別管理産業廃棄物管理責任者とは)。

石綿含有産業廃棄物の処理

1. 保管

飛散防止のため、他の廃棄物と混ざらないよう分けて保管します。割れやすい成形板は、割らないように扱うのが基本です。

2. 収集運搬

通常の産業廃棄物収集運搬業許可で運搬できますが、飛散・流出しないよう措置を講じる必要があります。委託契約書とマニフェストには、石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を明記します。

3. 中間処理

破砕は原則として禁止です。繊維を飛散させる行為だからです。溶融等による無害化処理を行う場合を除き、そのまま埋立に回されます。

4. 最終処分

安定型処分場ではなく、管理型最終処分場での埋立となります。他の廃棄物と混ざらないよう区分して埋め立てられます。

ここは要チェック

スレート板をがれき類と一緒に破砕機へ入れてしまうのが、現場で最も多い事故です。石綿含有建材は見た目がコンクリート系の建材と似ているため、分別の段階で判別しておかないと混入します。搬入先で発覚すると、その日の受入分全体が問題になることもあります。

委託先の選び方

アスベスト廃棄物を扱える業者かどうかは、許可証で判断します。

  • 廃石綿等を出すなら → 特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可があるか
  • 石綿含有産業廃棄物を出すなら → 事業の範囲に「石綿含有産業廃棄物が含まれるもの」の記載があるか
  • 最終的な搬入先(処分場)がアスベストを受け入れているか

許可証の見方は愛知県で産業廃棄物処理業者を選ぶ手順、契約書で確認すべき事項は産業廃棄物の委託契約書で確認すべきポイントにまとめています。

書類まわりで間違えやすい点

  • 委託契約書: 石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を記載する
  • マニフェスト: 廃棄物の種類欄に石綿含有産業廃棄物である旨を記載する(産業廃棄物マニフェストの書き方)
  • 廃石綿等: 特別管理産業廃棄物として、委託前に処理業者へ性状等の情報を提供する

解体・改修工事で必要になる手続き

廃棄物の処理とは別に、工事側の手続きもあります。

  • 事前調査: 解体・改修工事の前に、石綿の有無を有資格者が調査する
  • 結果の報告: 一定規模以上の工事では、調査結果を電子システムで報告する
  • 作業の届出: レベル1・2に該当する作業では、作業開始前に届出が必要
  • 掲示・記録: 現場への掲示、作業記録の保存

建設リサイクル法の届出とは別の手続きなので、混同しないでください(建設リサイクル法の対象工事と届出)。

費用の考え方

アスベスト廃棄物の処理費は、通常の産廃より高くなります。理由は次のとおりです。

  • 受け入れられる処分場が限られる(運搬距離が伸びる)
  • 梱包・表示など前処理の手間がかかる
  • 破砕による減容ができないため、容積がそのまま費用になる
  • 廃石綿等は無害化処理を行う場合、処理単価自体が高い

見積もりを比較するときは、処分場までの運搬費と処分単価を分けて出してもらうと判断しやすくなります(廃棄物処理業者の見積もりを正しく比較する)。

よくある質問(FAQ)

Q. アスベストを個人で処分できますか?

A. 事業活動で出たものは産業廃棄物なので、許可業者への委託が必要です。飛散の危険もあるため、自分で解体・破砕することは避けてください。

Q. 少量でも特別管理産業廃棄物になりますか?

A. 廃石綿等に該当すれば、量にかかわらず特別管理産業廃棄物です。量による免除はありません。

Q. 石綿含有かどうか分からない建材はどうしますか?

A. 分析で確認するか、含有しているものとみなして扱います。判断がつかないまま通常の産廃として出すのがいちばん危険です。

Q. 廃石綿等と石綿含有産業廃棄物を一緒に出せますか?

A. できません。区分が異なり、必要な許可も処理方法も違います。分けて委託してください。

Q. 埋立以外の処分方法はありますか?

A. 溶融等による無害化処理があります。対応できる施設は限られており、費用も高くなります。

Q. 石綿含有産業廃棄物を安定型処分場に持ち込めますか?

A. できません。管理型最終処分場での処分になります(産業廃棄物と一般廃棄物の違いで触れた処分施設の区分もご参照ください)。

まとめ: 区分を決めてから業者を探す

アスベスト廃棄物の処理でつまずくのは、たいてい区分を決めないまま業者に相談してしまうケースです。廃石綿等なのか石綿含有産業廃棄物なのかで、必要な許可も処理方法も変わります。

まず事前調査で有無と種類を確定し、区分を決め、その区分を扱える業者を探す。この順序で進めれば、契約書もマニフェストも迷わず作れます。


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