アスベストを含む建材一覧|モルタル・コンクリート・Pタイルの判別
「この壁のモルタルにアスベストは入っていますか」「コンクリートは大丈夫ですよね」——改修工事の打ち合わせでよく出る質問です。アスベストは建材の種類と使われた部位によって、含有の可能性がはっきり分かれます。この記事では、部位別の建材一覧と、モルタル・コンクリート・Pタイルという間違えやすい3つの判別を整理します。
- コンクリート本体に石綿が混入されることは通常ない。問題は表面の仕上材
- モルタルそのものより、仕上塗材や下地調整材に含有の可能性がある
- 古いビニル床タイル(Pタイル)と接着剤は含有品が多い
- 2006年9月以降の製品は原則として無石綿
- 製品名・記号での確認か、分析でしか確定できない
部位別・アスベスト含有建材の一覧
屋根
- 石綿スレート波板(工場・倉庫の屋根)
- 住宅用化粧スレート(カラーベスト等)
- ルーフィング(アスファルト系防水材)
外壁
- 石綿スレートボード、押出成形セメント板
- 窯業系サイディング
- 仕上塗材(吹付けタイル、リシン、スタッコ等)
内装・天井
- けい酸カルシウム板(第1種)、石綿含有石膏ボード
- ロックウール吸音天井板
- 吹付け材(耐火被覆・吸音)…レベル1
床
- ビニル床タイル(Pタイル)、ビニル床シート
- 床タイル用接着剤(黒色のカットバック系接着剤)
設備・配管
- 石綿セメント管(石綿管)
- 配管の保温材、パッキン、ガスケット
- 煙突用断熱材…レベル2
モルタルにアスベストは入っているのか
結論から言うと、モルタル(セメント+砂+水)そのものに石綿が混入されることは一般的ではありません。問題になるのは、その上下にある層です。
疑うべきは仕上塗材と下地調整材
外壁の吹付けタイル、リシン、スタッコといった仕上塗材や、その下の下地調整材には、ひび割れ防止や増粘の目的で石綿が使われていた製品があります。改修で既存塗膜をサンダーで削る、ケレンするといった作業をすると繊維が飛散するため、事前調査の対象になります。
「アスベストモルタル」と呼ばれるもの
現場で「アスベストモルタル」と呼ばれるのは、多くの場合石綿を混ぜた吹付け材や左官材のことです。耐火被覆として鉄骨に吹き付けられた石綿含有ロックウール(乾式・湿式)がこれにあたり、こちらはレベル1・2に該当します。名称が曖昧なまま話が進むと危険なので、現物と施工年で確認してください。
コンクリートにアスベストは入っているのか
構造体としてのコンクリートに石綿が混入されることは、通常ありません。したがって解体で出るコンクリート塊(がれき類)がそのまま石綿含有になることは基本的にないと考えて差し支えありません(がれき類(コンクリートがら)の処分)。
ただし次の点には注意が必要です。
- コンクリート表面の吹付け材・仕上塗材が付着したまま解体されると、混入する
- 押出成形セメント板・スレートボードはコンクリート系の外観だが、石綿含有品がある
- 石綿セメント管はセメント製品だが、石綿を含む
ここは要チェック
「コンクリート系だから大丈夫」という思い込みが、石綿含有の成形板をがれき類に混ぜてしまういちばんの原因です。板状のセメント系建材は、まず疑ってかかるくらいでちょうどいい対象です。
Pタイル(ビニル床タイル)の判別
事務所や店舗の床でよく見る30cm角のタイル。1980年代までの製品には石綿含有品が多くあります。
- タイル本体: 石綿含有品はレベル3。割らずに剥がすのが基本
- 接着剤: 黒色のカットバック系接着剤に石綿が含まれていることがある。タイルだけ無石綿でも接着剤側で該当する場合がある
- 剥離作業: ケレンやサンダー掛けは飛散を招くため、湿潤化のうえ手ばらしが原則
タイルの裏面に製品名や記号が刻印されていることがあり、そこから含有の有無を確認できる場合があります。
建築年代からの目安
- 〜1975年: 吹付けアスベストが多用された時期。レベル1に注意
- 1975年〜1995年: 吹付けは規制されたが、成形板・保温材に広く使用
- 1995年〜2004年: 段階的に規制が強化。含有率の高い製品は減少
- 2006年9月〜: 原則として全面禁止。以降の製品は無石綿
ただし在庫材の使用や改修の履歴があるため、年代だけで断定はできません。増改築を重ねた建物は、部位ごとに施工年が違うと考えてください。
判別の進め方
- 設計図書・仕様書を探す: 使用建材の製品名が分かれば、データベースで確認できることがある
- 現物の刻印・記号を見る: 裏面に製造者や製品記号が残っていることがある
- 有資格者による事前調査: 建築物石綿含有建材調査者が目視と書面で調査する
- 分析: 試料を採取して含有率を測定する。0.1%超で規制対象
調査と分析の考え方はアスベストの種類と見分け方にまとめています。
含有が確認されたあとの処理
建材の種類によって、廃棄物の区分が変わります。
- 吹付け材・保温材(レベル1・2) → 廃石綿等(特別管理産業廃棄物)
- 成形板・Pタイル(レベル3) → 石綿含有産業廃棄物
処理の流れと委託先の選び方はアスベスト(石綿)廃棄物の処理方法をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 外壁の吹付けタイルは全部アスベスト入りですか?
A. すべてではありません。製品と施工年によります。ただし削る作業を伴う改修では、事前調査で確認が必要です。
Q. コンクリートがらは石綿含有として扱うべきですか?
A. 通常は不要です。ただし表面に吹付け材や仕上塗材が残っている場合、それらを除去してから解体するのが原則です。
Q. Pタイルを剥がすだけなら届出は不要ですか?
A. 作業の届出はレベル1・2が対象ですが、事前調査と結果報告は規模要件に応じて必要です。無条件に不要ではありません。
Q. 接着剤だけが石綿含有の場合はどうしますか?
A. 接着剤が付着した部分も含めて石綿含有産業廃棄物として扱うのが安全です。判断は調査結果に基づいてください。
Q. 石膏ボードにもアスベストが入っていますか?
A. 一部の製品に含有品があります。石膏ボード自体は通常「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」として扱われますが、石綿含有なら区分が変わります(建設廃材の分別ルールと処理方法)。
Q. 分析にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 分析機関や検体数によりますが、数日から2週間程度が目安です。工程に組み込んでおいてください。
まとめ: 板とコテ塗り・吹付けを疑う
アスベストの含有を疑うべきなのは、板状のセメント系建材と吹付け・塗り仕上げの層、そして古い床タイルと接着剤です。逆に、コンクリート構造体そのものを心配する必要はほとんどありません。
年代と建材の種類でおおまかな見当をつけ、最終的には調査と分析で確定させる。この手順を踏めば、解体・改修の段取りで大きく外すことはありません。
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