石綿含有産業廃棄物とは|対象になる建材と処理の流れ
解体現場で出るスレート板や古い床タイル。これらは石綿含有産業廃棄物という区分で扱われ、通常の産業廃棄物より一段厳しい処理基準がかかります。特別管理産業廃棄物ではないため見落とされやすいのですが、破砕してしまうと基準違反になります。この記事では、対象になる建材と、排出から最終処分までの流れを整理します。
- 石綿を0.1%を超えて含み、廃石綿等以外のものが石綿含有産業廃棄物
- 特別管理産業廃棄物ではないが、破砕は原則禁止
- 他の廃棄物と混ぜず、分けて保管・運搬・処分する
- 契約書とマニフェストに「石綿含有産業廃棄物が含まれる旨」を記載する
- 最終処分は管理型最終処分場での埋立
石綿含有産業廃棄物の定義
石綿含有産業廃棄物とは、工作物の新築・改築・除去に伴って生じた産業廃棄物のうち、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもので、廃石綿等に該当しないものを指します。
ポイントは2つです。
- 0.1%超という含有率の基準がある
- 吹付け材や保温材のような飛散性の高いもの(=廃石綿等)は除かれる
飛散性の高いものは特別管理産業廃棄物である廃石綿等として、より厳しい基準で扱われます(アスベスト(石綿)廃棄物の処理方法)。
対象になる代表的な建材
いわゆるレベル3の成形板類が中心です。
- スレート波板・スレートボード: 工場や倉庫の屋根・外壁に多用された
- けい酸カルシウム板(第1種): 内装の下地、耐火間仕切り
- ビニル床タイル(Pタイル): 事務所・店舗の床材
- 石綿セメント管(石綿管): 上下水道の配管として広く埋設された
- 押出成形セメント板、押出成形セメント板の周辺部材
- 屋根用化粧スレート、住宅用外壁材(サイディング)
- 石膏ボード等に含まれる場合: 製品によっては含有品がある
建材ごとの詳細はアスベストを含む建材一覧にまとめています。
処理の流れ
1. 除去・分別
原則として湿潤化したうえで、割らずに手ばらしで撤去します。他の廃材と一緒にダンプへ放り込むのではなく、最初から分けて集めるのが基本です。
2. 保管
飛散しないよう、シートで覆うか容器に入れて保管します。他の産業廃棄物と混ざらないよう仕切りを設けてください(産業廃棄物の保管基準)。
3. 収集運搬
通常の産業廃棄物収集運搬業許可で運搬できますが、次の条件があります。
- 飛散・流出しないよう、シート掛けや容器の使用などの措置を講じる
- 他の廃棄物と混ざらないように積載する
- 委託先の許可の事業の範囲に「石綿含有産業廃棄物が含まれるもの」の記載があるかを確認する
4. 中間処理
破砕・切断は原則禁止です。溶融等による無害化処理を行う場合を除き、減容せずにそのまま最終処分に回します。
5. 最終処分
管理型最終処分場で埋立処分します。安定型処分場には持ち込めません。埋立時も、他の廃棄物と区分し、飛散しないよう覆土などの措置が取られます。
ここは要チェック
スレート板は見た目ががれき類やガラス・コンクリート・陶磁器くずと似ています。分別を現場任せにすると、まず間違いなく混入します。搬入先で発覚すれば受入拒否、破砕機に入ってしまえば飛散事故です。「疑わしい板材は別置き」を現場ルールにしてください。
書類の書き方
委託契約書
委託する産業廃棄物の種類の欄に、石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を明記します。これがないと、受託者は適切な処理方法を選べません(産業廃棄物の委託契約書で確認すべきポイント)。
マニフェスト
産業廃棄物の種類欄に、石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を記載します。品目としては「がれき類(石綿含有産業廃棄物を含む)」のように書くのが一般的です(産業廃棄物マニフェストの書き方)。
数量の管理
破砕による減容ができないため、容積がそのまま処理費に反映されます。発生量の見込みを早めに立てておくと、車両手配と予算取りがしやすくなります。
廃石綿等との違い
| 項目 | 石綿含有産業廃棄物 | 廃石綿等 |
|---|---|---|
| 区分 | 通常の産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
| 主な対象 | 成形板(レベル3) | 吹付け材・保温材等(レベル1・2)、養生材 |
| 梱包 | 飛散防止措置 | 二重梱包または固形化 |
| 必要な許可 | 産業廃棄物の許可(石綿含有の記載あり) | 特別管理産業廃棄物の許可 |
| 管理責任者 | 不要 | 必要(特管責任者) |
石綿管(石綿セメント管)の扱い
上下水道の更新工事で出てくるのが石綿セメント管です。切断すると繊維が飛散するため、原則として切断せずに撤去し、やむを得ず切断する場合は湿潤化などの措置を講じます。埋設物のため、事前調査で存在を把握しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 石綿含有産業廃棄物に特別管理の届出は必要ですか?
A. 不要です。特別管理産業廃棄物ではないため、管理責任者の設置義務もありません。ただし処理基準は上乗せされています。
Q. がれき類として出してはいけませんか?
A. 石綿を含むことを伏せて通常のがれき類として出すことはできません。種類の記載に石綿含有である旨を含める必要があります。
Q. 破砕して減容できませんか?
A. 原則としてできません。無害化処理施設に搬入する場合を除き、そのまま埋立処分になります。
Q. 含有率が0.1%以下だった場合は?
A. 石綿含有産業廃棄物には該当しません。通常の産業廃棄物として処理できますが、分析結果は保存しておいてください。
Q. 分析していない古い建材はどう扱えばいいですか?
A. 分析して確定させるか、含有しているものとして扱います。判断がつかないまま通常のがれき類に混ぜるのは避けてください(アスベストの種類と見分け方)。
Q. 受け入れてくれる処分場が見つかりません。
A. 管理型最終処分場で、かつ石綿含有産業廃棄物を受け入れている施設に限られます。委託先の業者に搬入先まで含めて確認してください(愛知県で産業廃棄物処理業者を選ぶ手順)。
まとめ: 混ぜない、割らない、書類に書く
石綿含有産業廃棄物の実務は、この3つに集約されます。他の廃材と混ぜない、破砕して割らない、契約書とマニフェストに石綿含有である旨を書く。
特別管理産業廃棄物ではないぶん油断されがちですが、破砕による飛散は現実に起きています。現場での別置きルールを決めておくことが、いちばん確実な対策です。
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